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<会計士に聞く!>第1回:配偶者が就業した場合の確定申告

駐在員の方だけでなく、2022年よりL-1ビザ駐在員の配偶者(L-2ビザの方)およびE-1/E-2ビザ駐在員の配偶者は、EADカード(就労許可証)を取得せずとも就労することが認められることになり、配偶者もアメリカで就労するケースが増えてきています。

日本とは違う税制に混乱をしてしまう場面も多々あるかと思います。米国公認会計士(ワシントン州)の大森氏に、アメリカの税金に関わる質問について分かりやすく回答頂きます。専門家の協力を得て、みなさまのお役に立てる情報を発信していきます!

Q. 夫の会社の規定で妻が就業した場合はタックスリターンが夫婦合算できなくなると言われています。税理士さんの費用に見合うほど収入が得られるのかという不安もあります。まず何から確認したら良いでしょうか?また、どこに相談すべきでしょうか?

A. まず初めに、旦那さんの勤務されている会社に「夫婦合算申告ができなくなる」の詳細についてご確認いただくことをお勧めいたします。この「夫婦合算申告ができなくなる」の意味は以下の二つが考えることができると思います。

  1. 会社として旦那さんのアメリカでの確定申告のサポートを行わない。
  2. 旦那さんのアメリカでの確定申告のサポートを「夫婦個別申告」で行い、配偶者のアメリカでの申告については自身で行ってもらう。

旦那さんの勤務先の意向が①の場合、夫婦の収入を報告する確定申告書の作成をどのようにするか検討をする必要があります。 アメリカでの確定申告は毎年4月15日(祝日等によって変動有り)までに行う必要があります。日本と違い、アメリカではほぼ全ての給与所得者は確定申告を行う必要があります。これは日本から派遣されアメリカで勤務する駐在員も例外ではありません。

また、アメリカは既婚者の場合「夫婦合算申告」が基本となります。従って、駐在員の旦那さんの勤務先の収入だけではなく、配偶者の収入についても併せて申告する必要があります。この「収入」は給与だけでなく、日本での利子収入、配当、不動産収入など全世界の収入について原則申告することとなります。

また、アメリカ国外に持つ金融資産(預貯金、株式、債券等)が$10,000を超える場合、すべてのアメリカ国外の金融資産を当局に自身で開示する必要があります。条件が$10,000(日本円で約130万円 2023年4月現在)と高額ではない条件なので、多くの駐在員は該当することになります。

これらの申告を正しく自分で行うことは非常に難しいと思いますので、上記①に該当する場合は、国際間の移動に多くの知見を持つ会計士を見つける必要があると思います。

ご自身で申告書を作成する場合は、Turbotaxなどの市販のソフトを使用し作成、提出をすることが可能です。

また、日本からの駐在員の場合、多くは「手取り保障」という給与体系で派遣されています。「手取り保障」で派遣されている場合、申告時に追徴や還付が発生した際にどのように処理を行うか事前に旦那さんの勤務先と確認する必要があります。

上記②の場合、配偶者の夫婦個別申告書の作成が必要となります。こちらも、会計士に依頼するかご自身での作成を行うか検討することになります。

旦那さんの申告書作成時には必要な情報収集を会社が依頼している会計事務所が行ってくれるはずですが、自身で作成する場合は確定申告書作成に必要な情報を自分で整理する必要があります。給与のみの収入の場合は手間でなはないと思いますが、個人事業主の場合は年間の収支計算などが大変になるかと思います。個人事業主としてお仕事をされる場合は、申告書を見据えて収支報告ができるように予め準備をすることをお勧めいたします。

駐在が完了し帰任する際ですが、帰任する年までは原則確定申告書の提出が必要となります。帰任したから終わりではなく、帰任後の翌年4月15日までに帰任年の申告書提出を忘れないようにしましょう。

 

 <執筆者>大森朋章(おおもりともあき)・米国公認会計士(ワシントン州)

国際人事税務(Global Mobility Tax)の専門家。EY税理士法人、デロイトトーマツ税理士法人の国際人事税務部門を経て、現在、在米日系企業駐在員・出張者の確定申告書作成等のコンプライアンス業務をサポートしている。

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