パンデミックでも強いシリコンバレーのオフィス事情 | Reloredac.com

パンデミックでも強いシリコンバレーのオフィス事情

シリコンバレーに本社を構えるアップルやフェイスブックなどの大手ハイテク企業は、変異ウイルスの「デルタ株」の感染拡大に伴い、オフィス再開時期を来年1月以降に延期しました。リモート勤務がまだまだ主流な中ですが、驚くべきことにシリコンバレーの賃貸オフィス市場は比較的安定に推移しています。今回はパンデミックでも強いシリコンバレーのオフィス事情についてお届けしたいと思います。

 

【サンノゼ・オフィスマーケット|空室率と賃料動向】

 

パンデミック直前まで上がり続けていたオフィス賃料($5.25/sf/mo, $65/sf/yr)は、パンデミックによるロックダウン後に一時下がったものの、その後は横ばいに推移しています(現在$5.17/sf/mo, $62/sf/yr)。2023年からは回復傾向と予測され、2024年にはパンデミック直前の賃料水準を上回ると見られています。商業不動産データベース会社CoStarによると、今年第3四半期のサンノゼマーケットの平均オフィス賃料はサンフランシスコマーケットを抜き、全米一となりました。

 

Appleが契約したSunnyvaleのPathline Park、Irvine所有(出典:CoStar)

 

パンデミック中のオフィス空室率上昇にもかかわらず、オフィス賃料が殆ど下落を見せなかった大きな要因に、ハイテク大手やバイオテック企業の躍進が賃貸オフィス市場を支えていたことが挙げられます。

まず、パンデミックが追い風となり消費者がオンラインに頼る生活を余儀なくされたことで、ハイテク企業はこれまでにない利益を計上しました。アップル、アルファベット(グーグル)、エヌビディア、テスラ、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックを合わせた株式市場の時価総額はいまや10兆ドルを突破しています。これは、2002年の米国株式市場全体の規模とほぼ同じ水準です。

加えて、大手や新規企業を含めたハイテク企業やバイオテック企業による、オフィス拡張の動きも活発でした。このオフィス拡張の背景には、事業拡大に伴う雇用創出だけでなく、リモート勤務では難しい対面でのコラボレーションで生まれるイノベーションの重要性を、経営層が痛感していることも重要な事実です。アルファベット社のCEO Sundar Pichai氏は「社員がハッピーで生産性を高めるためにはコラボレーションが必須だ。だからこそ、オフィスに対して更に投資を続けていく。」と述べています。

 

Chimeが契約したSFダウンタウンの101 California、Hines所有(出典:CoStar)

 

直近の事例としては、まずアップルが、サニーベールで計70万平方フィートをリース契約した数か月後に、本社を構えるクパチーノで46万平方フィートのオフィス物件を取得しました。また、デジタル銀行のチャイムは、パンデミック以降サンフランシスコ市内で最大規模(20万平方フィート)のオフィススペースを契約し、アルファベット傘下の自動運転車開発企業のウェイモも、サンフランシスコ市内で競合だったウーバーのサブリース区画を契約(4万8千平方フィート)、2020年後半にはグーグル本社近くで17万平方フィート契約しています。アマゾン創立者のジェフ・ベゾスなどが出資するバイオテック企業のアルトス・ラボはレッドウッドシティに17万平方フィートの面積を契約、同じくバイオテック企業のベンチリングもサンフランシスコ市内のオフィスを4倍に拡張しています。

世界をけん引する最先端技術の発信地であるシリコンバレーは、ハイテク企業とバイオテック企業の更なる躍進が期待できる最も熱い街の1つといえます。これからも注目していきたいと思います。

 

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