アメリカで初めての自宅購入|手続きの流れと注意すべきポイント【中編】
前回に引き続き、アメリカで自宅を購入するにあたりどのような手続きが必要になるのか、順を追って説明いたします。なお、本コラムはニューヨーク州の商慣習にもとづくものとなり、州によって異なる場合がある点、予めご了承ください。
売買契約の締結
◆弁護士の選定
売買契約書の作成や、最終引渡し時に弁護士はなくてはならない存在です。ひとくちに弁護士と言ってもその専門分野は多岐に分かれますので、不動産を専門とする弁護士を選びましょう。買主側の不動産エージェントに相談して経験豊富な弁護士を紹介してもらうことも可能です。なお、大きな弁護士事務所は仕事を請け負う弁護士と実際の業務を担当する弁護士が違う場合が多々ありますので留意しておきましょう。
◆契約時のチェックポイント
手付金の支払い |
売買契約書に署名をする際に、一般的には手付金として購入価格の10%が必要です。支払方法は個人の小切手で行いますが、もし気が変わってこの物件の購入をやめる場合(自主都合)、10%の手付金は返金されません。但し、次のチェックポイントに挙げているモーゲージ・コンティンジェンシー(住宅ローンの審査結果に伴う停止条件)が契約内容に入っていて、モーゲージがつかない場合は返金されます。 |
モーゲージ・コンティンジェンシー(住宅ローンの審査結果に伴う停止条件) |
モーゲージを付けて購入する場合の条項で、契約書に署名をしてから設定された期限(通常45~60日後)までに、モーゲージがおりない場合、買主がこの契約を破棄できる権利で、契約のなかに明記されます。署名時に必ず期限を確認しましょう。この期限はとても重要なので、モーゲージ担当者にも伝え、ローンの承認が遅れる場合には、必ず弁護士に連絡をして延長手続きをしてもらいます。モーゲージが取れていないのにこれを放置すると、契約破棄の権利がなくなり、モーゲージがおりるか否かに関わらず、購入の義務が発生します。 |
ファイナンシャル・ステートメントの確認: |
コンドミニアムやタウンハウスのような集合住宅の場合、管理経営状態を示す、ファイナンシャル・ステートメントのチェックが必要です。管理会社に連絡をして、過去2年間のレポートを取り寄せ、弁護士に確認してもらいましょう。 経営状態が悪いと管理費が急に値上がりしたり、スペシャル・アセスメント(特別徴収の管理費)が課せられたりします。 |
オファーリング・ブック: |
同じく集合住宅の場合、最初にスポンサーより販売された時に作成された本で、次の購入者に引き継がれていきます。内容は、ビルディングの場所、構造、規則、各ユニットのオリジナル価格、レイアウト、などを含むビルの詳細が盛り込まれています。 |
モーゲージ(住宅ローン)の手続き
売買契約書に署名をしたら、次はモーゲージの手配に進みます。申請後、銀行からモーゲージの承認がおりるまで、通常1.5~2カ月ほどかかります。コロナの影響で売買がいつにも増して活発になっているマーケットでは、銀行での手続きに通常以上の時間を要する場合もありますので、注意しましょう。
◆モーゲージ申込書の提出
銀行やモーゲージ・ブローカーの所定の申込書に記入し、申込金も添えて提出します。また手続きに必要な書類を確認し、入手次第提出します。
◆物件鑑定の依頼
モーゲージの申請を受けた銀行は、物件の鑑定額を鑑定士に算出してもらいます。この鑑定額がもし購入価格を下回る場合は、鑑定額を基準にモーゲージ金額が算出されますので、希望のモーゲージ額が受けられない場合もあります。
◆モーゲージ承認書(Commitment Letter)の受理
銀行がモーゲージの貸付を決定した場合、銀行からモーゲージ金額貸付の承認レターが発行されます。これが発行されたら直ぐに弁護士に知らせましょう。
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