アメリカで初めての自宅購入|手続きの流れと注意すべきポイント【後編】 | Reloredac.com

アメリカで初めての自宅購入|手続きの流れと注意すべきポイント【後編】

 

前回に引き続き、アメリカで自宅を購入するにあたりどのような手続きが必要になるのか、順を追って説明いたします。なお、本コラムはニューヨーク州の商慣習にもとづくものとなり、州によって異なる場合がある点、予めご了承ください。

 

クロージング(最終引渡し)前の諸手続き

モーゲージ(ローン)の承認がおりたら、クロージングに向けて下記の準備を開始します。

 

◆タイトルサーチ(権限調査)
買主側の弁護士がタイトル会社に依頼し、物件の所有権の確認、抵当権の有無、土地、建物の調査をします。通常1~2週間で調査結果が出ますが、もし問題のある場合は、買主売主の双方で対処しクロージングまでに解決します。

 

◆管理組合への入居許可申請
コンドミニアムの場合は、住人で組織される管理組合(ボード(Board)あるいは、ホーム・オーナーズ・アソシエーション(HOA)と呼ばれる)があり、売買の認可を決定する権利を持っています。これは “RIGHT OF FIRST REFUSAL”といわれ、管理組合が同じ条件でその物件を買い上げる権利を認めたものです。

殆どの場合この権利は行使されませんが、まれに売却価格があまりにも市場より低いと、ビルの価値を保つ為に行使されることがあります。売買契約書のコピー、買主の申込関係書類をビルの管理組合に提出し、入居認可を得ます。この手続きは約2週間から1ヶ月かかり、ほとんどの場合は認可されますが、書類不十分で差し戻される場合もよくありますので、提出時にはエージェントに内容の確認をしてもらいましょう。

 

◆委任状の手配(Power of Attorney)
クロージングに自分が立ち会えない場合に委任状が必要となります。弁護士または弁護士以外でクロージングに立ち会える人に、代理で書類にサインをしてもらえるよう、あらかじめ委任状の手配をしておきましょう。委任状には公証(Notary Public)が必要です。アメリカでは公証資格を持った人がいる場所ならどこでも簡単に出来ます。

 

◆保険の手配
クロージングの日程が決まったら、その日からカバーされるように保険に加入します。一軒家の場合は、“ Home owner’s Insurance ”という種類の保険となります。コンドミニアムやタウンハウスのような集合住宅の場合は、外壁など共用部分には組合が保険を掛けていますので、自分のユニットだけをカバーする保険を掛けます。モーゲージを申請している場合、保険の手配に関して確認が取れない限り承認がおりないため、とても重要です。

 

◆ファイナル・インスペクション(物件の最終点検)
クロージングの約1週間前~当日の間に、物件の最終点検を行います。新築(スポンサー・セール)の場合は塗装や床のきず等細かいところまで全て売主が修理してくれますが、転売で個人の売主から購入する場合、通常、機械類以外は、契約締結時の現状(AS IS)で機械類が正しく作動しない場合は売り主責任での購入となるため、契約締結時に実施したインスペクション時と同じ状態かどうかの確認するととも、冷暖房、上下水道、電気器具、家電、などを実際に動かしたり、トイレを流してみたりしてチェックします。

もし作動しなかったり、トイレや水道栓が流れっぱなしになっていたり、または知らない傷が床や壁に付いている場合などがあったら、クロージング時に買主弁護士に伝えます。買主弁護士は売主弁護士にどのように対処するか交渉します。クロージングが終わって実際に入居してから壊れていることに気づいても、売主の責任ではなくなります。

 

クロージング(最終引渡し)

買主は売主に残金を支払いますが、大きな金額は銀行小切手(Bank Check、銀行振り出しの小切手)にすることを要求されます。売主は買主に物件譲渡証(Deed)と鍵を渡します。買主がモーゲージを手配している場合は、この場でモーゲージ関連書類にも署名をします。クロージングには、売主、買主、それぞれの弁護士、タイトル会社、モーゲージを出す銀行の弁護士、そしてそれぞれの不動産エージェントが立ち会いますが、この度のコロナ禍では、立ち合い状況はケースバイケースとなっています。当日用意するもの、及びクロージングで確認すべきポイントは以下の通りです。

チェック(小切手)
購入代金、諸費用などのチェックを弁護士の指示により用意します。通常、高額のチェックはBank Check又はCertified Checkで必要となるため、前日あるいは当日銀行で用意しましょう。少額であればパーソナル・チェックで済ませられるため、チェックブックを持参し、クロージングの席でチェックを切ります。途中でチェックの数が足りなくならないよう、十分な量の白紙チェックを用意しましょう。
写真付ID
クロージング当日、本人確認の際に必要となります。必ず写真の付いたパスポートか免許書をご用意下さい。
残金支払
通常手付金の10%は売買代金の一部として充当されるため、売買価格の残りの90%を支払います。モーゲージをつけて購入する場合は、銀行がローン金額分のチェックを用意します。
諸経費支払
クロージングの2~3日前に弁護士からクロージングコスト一覧表を受け取り、それらの支払いを当日します。タイトル調査代、弁護士費用、税金等の諸費用を全て清算します。
鍵の受け取り
売主は保有する全ての鍵を買主に引き渡しますが、クロージング後に鍵は新しくされることをお勧めします。コンドミニアムの場合はメールボックスの鍵もあるか確認をしましょう。車庫に自動ガレージ・オープナーが設置されている物件の場合は、コントローラーの有無も確認しましょう。
ユーティリティの手続き
 クロージングが無事に終了すると、その時点で物件の所有権が買主に移転します。電気、ガス、水道などの名義をその日付で自分に変更しなければなりません。実際の入居がたとえ先でも、これを怠るとサービスを止められることがあるため、注意が必要です。
 クロージングメモの保管
 クロージング後、契約書やタイトル調査結果、クロージング関連費用をまとめたクロージングメモが弁護士より送られてきます。税金申告時、売却時などに必要になるため、大切に保管しましょう。

  

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