アメリカ不動産投資スクール 【第5回】海外投資家がマンハッタンの不動産賃貸業を営むワケ
空室率1%台というマンハッタンのアパート事情
Home’s不動産投資のウェブサイトによれば、東京23区の空室率は江東区が一番低く7.4%、一番高いのが千代田区で36.5%となっています。一方でマンハッタンの空室率は、2016年5月が1.68%、6月が1.7%と1%台の推移に留まっています。(不動産賃貸専門大手Citi-Habitats社のマーケットレポートより)
マンハッタンの面積は山手線の内側と同規模、都心4区(千代田区、中央区、港区、新宿区)に匹敵する広さだといわれていますが、この差は歴然です。マンハッタンの人口が約163万人、都心4区が約74万人ですから、人口密度も2倍以上だということが分かります。空室率が1.7%以下ということは、100室あるアパートの中で空室がたった1~2部屋しかないということなのです。
実際に賃貸物件を探してみるとその差を実感しますが、午前中に内覧したアパートを同日の午後に申し込んでも、既に他の人に取られてしまっていた・・・というケースは珍しくありません。2016年から2018年にかけて大型の新規供給が見込まれているため、今後は一時的に若干賃貸市場が緩和される傾向はありますが、長期的にみるとニューヨークが世界のファイナンシャルセンターの位置を保ち続ける限り、今後もニューヨークは圧倒的に安定した賃貸市場が続くものと考えます。
貸主に有利なニューヨークの賃貸契約
また、契約の際にも貸主に有利な条項があります。日本の場合は、基本的に借主に有利になっているため、貸主から契約を解除したり、更新を拒否することは非常に難しく、立ち退き料を支払うケースも多く見られます。
一方ニューヨークでは、契約書にあらかじめ記載しておけば、契約期間内に貸主から解約を申し出ることも可能で、更新を拒否する権利もあります。「物件を売却するから更新しない」「貸主自身、あるいはその家族、親戚に住まわせたいから更新しない」という理由で借主が引越しを余儀なくされることもしばしばです。
このような形で貸主の権利が保護されているので、売却のタイミングを逃すこともありませんし、より条件の良い貸主に貸し変えることもできます。また、将来的にセカンドハウス、リタイア後の住まい、あるいは子供が留学したときに住めるように、と考えている方にも安心です。
もう一つ、空室リスクを軽減するために商習慣化しているのは「退去前内覧」です。ほとんどの賃貸契約書に記載されるのですが、まだ借主が住んでいる状態でも「契約が満了する〇〇日前からは次の借り手候補の方への内覧に協力する義務がある」とされています。一般的には2ヶ月前から次の募集をかけるので、2ヶ月の間に次の借主が決まれば空室期間はゼロになります。「そんな条件に協力する借主はいるのだろうか?」と疑問に思われるかもしれませんが、協力しないと最悪の場合、敷金を没収されてしまう恐れがありますし、早く次の人が決まれば、もう内覧に来ないので協力してくれるケースが殆どです。
このように、貸主有利な契約を結ぶことができ、結果的に圧倒的に低い空室率を保てることから、海外の投資家がアメリカ国外に在住しながら賃貸運営をしているのがマンハッタンなのです。