アメリカ不動産投資スクール 【第2回】日本と異なる3つのリスク ~空室リスク、下落リスク、流動性リスク~
【空室リスク】 驚くほど低い空室率
まず空室リスクですが、これは少子化が進む日本で物件をお持ちの方々にとって、一番深刻な問題だと思います。現在ニューヨークの空室率は、年間平均で1.5%前後を推移しています。これは、東京都内の空室率が15%前後、地方に行けば更に高くなる日本の状況に比べると、驚異的な低さといえるでしょう。
【下落リスク】 上がり続ける家賃
次に賃料の下落リスクですが、物件の築年数とともに賃料が下落する日本に比べ、ニューヨークの賃料は物件の築年数にかかわらず年々上昇するのが一般的です。これは前述の空室率の低さからもうかがえるように、ニューヨークは貸主有利のマーケットであるためで、地域やアパートのサイズ、競合物件の状況にもよりますが、通常のマーケットであれば毎年2~3%近く上昇します。ニューヨークのアパートを借りている当社のお客様の中にも、更新時の賃料の上昇に対し、日本とのあまりの違いにびっくりされる方がいらっしゃいますが、こちらではそれが常識なのです。ニューヨークの物件の利回りは、年々家賃の上昇とともに初年度から改善していきます。下記の例では、購入年度に1,600ドルの賃料は、12年後には約70%上昇し、2,700ドルとなっています。(下図:ミッドタウンウエスト、1988年築のワンルームマンションの一例)
アメリカは、先進国で唯一人口が増加している国です。国勢調査機関の予測では、マンハッタンの人口は2010年から2014年で3.2%の増加とされていますので、この空室率と家賃上昇の傾向はさらに続くことが予想されます。
【流動性リスク】 買い手に困らない中古住宅
最後に流動性リスクですが、アメリカの不動産市場は全体の91%が中古住宅で新築は9%しかありません。それに比べ、日本の不動産は87%が新築で、13%が中古住宅の販売です。2015年の第二四半期でいうと92.1%が中古住宅の販売でした。中古でも価値が下がらずマーケットとともに価格が上昇していくのがニューヨークを含めたアメリカ不動産の特徴です。先の例でとりあげた購入時築14年の中古アパートは、さらに12年後には約2倍に値上がりしているのがその証左です。