アメリカ国民の祝日に追加された「Juneteenth」とは? | Reloredac.com

アメリカ国民の祝日に追加された「Juneteenth」とは?

皆様ご存じの通り、2021年6月17日に「Juneteenth」という日が、アメリカの国民休日に加わる事が決まりました。  一昨年から急激に関心が高まっていたこの祝日は、既に会社指定の祝日としている有名企業も多く存在します。経営者やHR部門の方としては、Juneteenthをただの祝日と捉えるだけでは無く、D&I (Diversity, Equity and Inclusion)やPR (Public Relation)などを考える上でも重要な要素となる事を留意する必要がありそうです。

 

 

Juneteenthに関する企業の対応

アメリカの国民休日が新たに指定されるのは、1983年にキング牧師の日が制定されて以来の出来事で、連邦政府によって指定された11個目の祝日となります。このJuneteenthが再度脚光を浴びるきっかけとなった大きな要因の一つとして、BLM (Black Lives Matter)運動があり、その影響を受けて一昨年から6月19日を会社指定の祝日として導入した企業が出始めました。

その背景には、BLM運動に対して雇用主に「人種問題に直接対応している」という行動を求める従業員の声が強まった事が大きな原動力となっており、それがなされる事によって、従業員のエンゲージメント、つまり愛社精神や帰属意識の様なものを生む効果や、自社が「差別をしない会社である」という世間へのアピールにも繋がっていると考えられます。

Juneteenthにいち早く対応した日系企業としては資生堂などがありますが、アメリカで会社指定の祝日としている企業の例は、次の通りです。

Allstate, Altria, Apple, Best Buy, Citi, Facebook, Home Depot, J.C. Penny, JPMorgan Chase, Lush, Lyft, Mastercard, National Grid, NFL, Nike, NPR, Postmates, Square, Spotify, Starbucks, Target, T-Mobile, Twitter, Uber, VOX, Yelp, Zillow

また、会社指定の休日だけでなく、Juneteenthに関連した様々な活動が行われる様で、昨年の例としては次のものが挙げられます。

Amazon:Juneteenth Unityfest などのイベントをスポンサー
General Motors:Juneteenth Foundation’s Freedom Festival をスポンサー
Google:18日(金)のミーティングを廃止した上で2時間のイベントを開催
Microsoft:全世界の従業員が参加可能な"exploration, learning, and engagement"を行う
Chipotle:Project 10Xという人種平等に関する団体に募金を行う
Starbucks:6月19日にお店や配送センターなどで働く従業員の時給を1.5倍で支払う


Juneteenthとは何なのか

そもそも、このJuneteenthが何なのかと言いますと、奴隷制度廃止を記念する日に当たり、他にもEmancipation Day、Freedom Day、Jubilee Day、Liberation Dayなどとも呼ばれています。もともと、奴隷解放宣言が第16代アメリカ合衆国大統領によって発令されましたが、全国の細部までその宣言が行き渡るまでには時間がかかり、2年半後に遂に南部のテキサス州で奴隷解放命令が発令となり、その日が6月19日だった事もあり、現在の名称になっている様です。なお、Juneteenthという名称は、「June」と「nineteenth」の2つの言葉を合わせた造語となります。Juneteenthは以前からテキサス州では正式な祝日となっており一昨年の時点では翌年から州の祝日にする事をニューヨーク州を始め複数の州から発表されていましたが、遂には国の祝日となりました。


今後考えるべき事

在米日系企業の皆さまが考えるべき事としては、まずは会社指定の祝日の見直しが挙げられます。こちらは、単に「会社指定の祝日を選ぶ際の候補が増えた」と捉える事もできますが、前述の通り、企業理念やD&I (Diversity, Equity and Inclusion)やPR (Public Relation)なども大きく関与するため、本来はアメリカの拠点単体といった形では無く、日本を含めた企業全体で取り組むべきものとも考えられます。

在米日系企業のトップマネジメント、またはHR部門の皆さまとしては、まずは日本サイドと情報共有する所から始めていただき、こちらの記事をご活用いただける様でしたら幸いです。


<執筆>Kimihiro Ogusu, SHRM-SCP, 中央大学 非常勤講師
アメリカのHR(Human Resource ≠人事)マネジメント協会:SHRMの上級プロフェッショナル認定の専門家。Health/Life Insuranceライセンスも所有し、「組織戦略論」を基に各企業のソリューションを提供している。日本ではメガバンクへの記事提供や大学での授業などを中心に、今後の日本に必要となるHRの普及に貢献している。日米双方の義務教育および職務経験を通じて文化の違いを熟知するバイリンガル。
SolutionPort, Inc.代表。中央大学経済学部卒。
Web: https://note.com/0__/n/nfafa1d6bb582